「息苦しいから動かない」は逆効果?肺を元気にする「運動療法」のススメ

「少し歩くだけで息が切れる」「階段がつらいのは年のせい……」と、外出や趣味をあきらめていませんか?

実は、COPD(慢性閉塞性肺疾患)や間質性肺疾患などの呼吸器の病気において、運動は「薬」と同じくらい大切な治療のひとつです。今回は、初心者の方でも安心して取り組める「呼吸リハビリテーション(運動療法)」の驚きの効果と、その内容をわかりやすく解説します!


1. なぜ息苦しいのに「運動」が必要なの?

息苦しいと、どうしても体を動かすのが怖くなりますよね。しかし、ここに大きな落とし穴があります。

負のループ「不動の悪循環」に注意

動かないでいると、全身の筋肉が衰えていきます。すると、以前よりもさらに少ない動きで息が切れるようになり、ますます動かなくなる……という**「悪循環」**に陥ってしまうのです。

このループを断ち切るのが呼吸リハビリテーションです。単なる筋トレではなく、医療チームと一緒に「自分らしい生活」を取り戻すためのトータルケアを指します。


2. 運動療法で期待できる「4つのメリット」

科学的にも証明されている、運動療法の主な効果をご紹介します。

  1. 息切れの軽減:同じ距離を歩いても、以前より楽に感じられるようになります。
  2. 入院の予防:症状が悪化して入院する回数や期間を減らせます。
  3. 心の健康:不安や気分の落ち込みが和らぎ、前向きな気持ちになれます。
  4. QOL(生活の質)の向上:旅行や買い物など、やりたいことを楽しめる体力がつきます。

3. 具体的にどんなことをするの?

運動療法は、主に以下の3つのステップで進めていきます。

① コンディショニング(呼吸を整える)

まずは、効率よく酸素を取り込める体を作ります。

  • 口すぼめ呼吸・腹式呼吸:肺への負担を減らす呼吸法をマスターします。
  • ストレッチ:呼吸に使う胸周りの筋肉や関節を柔らかくほぐします。

② 全身持久力トレーニング

最もおすすめなのは**「歩くこと」**です。 室内自転車(エルゴメーター)などを用い、自分のペースでじっくりと心肺機能を高めていきます。

③ 筋力トレーニング

「立ち上がる」「腕を上げる」といった日常の動作をスムーズにするため、手足の筋肉を鍛えます。


4. 「自分で管理する力」も大切な治療

運動とセットで大切なのが、**セルフマネジメント(自己管理)**です。

  • 早めの気づき:「いつもより痰が多い」「少し息苦しい」といった変化をキャッチし、早めに受診や薬で対応することで重症化を防ぎます。
  • 栄養管理:呼吸器の病気の方は、呼吸に多くのエネルギーを使うため体重が減りがちです。しっかり食べることも、立派な治療の一部です。

⚠️ 始める前の大切な注意点

運動療法は、必ず**「主治医や専門スタッフ(理学療法士など)」の指導のもと**で行ってください。

心臓への負担や酸素飽和度を確認しながら、あなたにぴったりの「運動処方箋」を作ってもらうことが、安全で効果的な継続への近道です。


まとめ

呼吸器疾患における運動療法は、**「一生を自分らしく過ごすためのパートナー」**です。

「息苦しいから動かない」のではなく、「楽に動くために、正しく体を動かす」。 今日から専門家と一緒に、新しい一歩を踏み出してみませんか?

参考資料:

  • 日本呼吸器学会・日本呼吸ケア・リハビリテーション学会合同「非がん性呼吸器疾患 緩和ケア指針 2021」
  • 3学会合同「呼吸リハビリテーションに関するステートメント 2018」