「寝たきり」を防ぐカギはこれ!医療・介護で知っておきたい「離床」の驚くべき効果

はじめに

病気やケガ、加齢などで体が弱ってくると、ついつい「ベッドでゆっくり休んでいるのが一番」と思いがちですよね。しかし、医療や介護の現場では今、**「できるだけ早くベッドから離れること(離床)」**が非常に重視されています。

「なぜ、わざわざしんどい思いをしてまで起きなければならないの?」 そんな疑問に答えるべく、今回は「離床の大切さ」について、初心者の方にもわかりやすく解説します。


1. 「離床(りしょう)」とはどういう意味?

離床とは、文字通り「床(ベッド)を離れる」ことです。 ただ「立つ」「歩く」だけでなく、以下のような動作も立派な離床に含まれます。

  • ベッドのリクライニングを立てて過ごす
  • ベッドの端に腰をかける(端坐位)
  • 車椅子や椅子に移って座る

大切なのは、**「重力に対して体を垂直に保つ時間を増やす」**ということです。


2. 動かないことで起こる「廃用症候群」の怖さ

「安静」は時に毒にもなります。人間は動かない時間が長すぎると、**「廃用症候群(はいようしょうこうぐん)」**という状態に陥ります。

① 筋肉は1週間で15%も落ちる

驚くべきことに、ベッドで何もしない生活を送ると、筋肉量は1週間で約10〜15%、3〜5週間で半分近くまで低下すると言われています。一度落ちた筋肉を戻すのは、高齢の方ほど大変な作業です。

② 内臓の働きが悪くなる

寝たきりだと腸の動きが鈍くなり、ひどい便秘を招きます。また、重力の助けがないため、尿がしっかり排出されず尿路感染症の原因になることもあります。

③ 認知症やうつ症状の進行

横になったまま天井を見ているだけの時間は、脳への刺激を遮断します。今が何時か、ここがどこかがわからなくなる「見当識障害」や、気力の減退を招く大きな要因です。


3. 離床することで得られる3つの大きなメリット

反対に、ベッドから離れる習慣を作ると、体と心には素晴らしい変化が起こります。

メリット1:肺炎の予防(呼吸機能の改善)

起き上がると肺が大きく広がり、深い呼吸ができるようになります。これにより、痰(たん)を出す力が強まり、高齢者の命に関わる「誤嚥性肺炎」のリスクを劇的に下げることができます。

メリット2:床ずれ(褥瘡)の防止

ずっと同じ姿勢で寝ていると、腰やかかとの皮膚が圧迫されて腐ってしまう「床ずれ」が起きます。座る姿勢をとることで、特定の場所への圧迫をリセットできます。

メリット3:心の「やる気スイッチ」が入る

視界が変わり、家族やスタッフと同じ目線で会話ができるようになると、人の心は自然と前向きになります。「自分で食べよう」「トイレまで行ってみよう」という意欲は、座ることから始まります。


4. 無理なく離床を進めるための「3ステップ」

急に「歩きましょう!」と言うのは逆効果です。以下のステップで少しずつ進めるのがコツです。

  1. まずは「座る」ことから: 食事の時だけは椅子に座る、というルールから始めます。
  2. 時間を決める: 最初は5分から。慣れてきたら、テレビを見る30分間は座る、と時間を延ばします。
  3. 楽しみをプラスする: 「窓の外の景色を見に行こう」「あそこのテーブルでお茶を飲もう」など、移動した先に楽しみを作るのが一番の近道です。

おわりに

離床は、単なるリハビリのメニューではありません。その人らしい生活」を取り戻すための大切な一歩です。

無理をさせる必要はありませんが、「安静が一番」という思い込みを少し変えて、今日から「ほんの少しだけベッドから離れる時間」を作ってみませんか?その数分の積み重ねが、将来の健康を大きく変えてくれるはずです。

ここまで読んでいただきありがとうございました🙏