今回は生活保護についてです。
まず、生活保護とは
生活保護の基本原理
①国家責任の原理:生活に困窮する国民の最低生活保障を国がその責任において行う。
②無差別平等の原理:生活困窮者の信条、性別、社会的身分等による優先的または差別的な取り扱いを否定するとともに、生活困窮に陥った原因による差別を否定している。
③最低生活保障の原理:生活保護法で保障する最低生活の水準の内容を定めている。
④補足性の原理:保護は、生活に困窮するものが、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる。つまり、本法が適用されるのは、他制度が適用された後である。
まとめると
国が責任を持って国民の最低限度の生活を無差別平等に保障するが、それは困窮者が自身の資産や能力などを最大限活用した後に行われるというもの
生活保護の原則
①申請保護の原則:生活保護の前提として、保護の申請(意思表示)があって初めて手続きが開始される
②基準及び程度の原則:厚生労働大臣は、保護の実施上の基準を定める。生活保護の基準には、保護の要否を決めるための尺度としての機能を同時に、保護費の支給の程度を決めるための尺度としての機能がある
③必要即応の原則:ここの要保護者の実情に即して保護を実施すべきである
④世帯単位の原則:生活保護の要否や程度の決定は、世帯を単位として行う。
ここまでが生活保護の考え方や決まりごとです。
生活保護には「扶助」という考え方があります。
計8個の扶助が存在します。
①生活扶助:日常生活に必要な費用
②住宅扶助:アパートの家賃等の費用
③教育扶助:義務教育を受けるために必要な学用品等の費用
④医療扶助:医療サービスの費用
⑤介護扶助:介護サービスの費用
⑥出産扶助:出産費用
⑦生業扶助:就労に必要な技能の修得等にかかる費用
⑧葬祭扶助:葬祭費用
この8つの扶助の種類から当てはまるものが支給となります。
次に申請から受給までの流れです。
①相談について
お住まいの地域の福祉事務所の生活保護担当へ相談
②保護の申請
生活の状況を把握するための調査や資産の有無等の資産調査、就労の可能性の調査など様々な調査
③保護費の支給
厚生労働大臣が定める基準額から収入(年金など)を差し引いた額が保護費として支給される
生活保護受給中は、毎月収入の状況を申告する必要がある
こういった制度の存在は知っている方は多いと思いますが、その詳細は理解していない方が多くいると思います。
生活保護と聞くと「何事も無料になる?」「何もしないで生活ができる?」など色々な意見があります。
生活保護の受給には様々な要件が存在します。
日本国憲法第25条には
「全て国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」
とあります。
日本は生活困窮者の方に対してのセーフティーネットがしっかりしている国です。
この記事が生活に困窮して困っている方に対して少しでも力になればと思っています。
引用文献
武冨章(2023).「どんたく先生の五訂基本テキスト対応ケアマネージャー受験対策要点の整理改訂第5版」日本医学出版.P328〜329
厚生労働省 ホームページ 生活保護制度
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/seikatuhogo/index.html



